「健康という病」五木寛之著

公開日: 更新日:

 著者は、敗戦後70年あまり歯科以外の病院の世話になったことがなく、検査なども一切せず、自らの体が発する声に耳を澄ませながら養生を心がけてきた(つい最近、左脚の痛みによって戦後初めて病院に行ったそうだが)。その著者からすると、いまの日本は〈健康という病〉が蔓延しているように見えるという。

 たしかに新聞・雑誌、テレビ・ラジオなどで連日多種多様な健康情報が流されている。こうした情報の氾濫により、健康に対する関心は高められるが、その情報自体がストレスになるという逆説も生まれる。

 しかも専門家によって正反対の健康法を勧める場合も多い。たとえば、寝る姿勢は横臥位がいいという人と、あおむけが最適だという人。一時期は諸悪の根源のようにいわれていたメタボだが、最近では痩せているより小太りの方が長生きするといわれ始めている。

 肝心なのは、「完全な健康」という幻想にとらわれて情報に振り回されず、病と上手に付き合っていくこと。それが「人生100年時代」を生きていく新しい健康法なのだ、と。(幻冬舎 760円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    長瀬智也が国分太一の会見めぐりSNSに“意味深”投稿連発…芸能界への未練と役者復帰の“匂わせ”

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    元TOKIO松岡昌宏に「STARTO退所→独立」報道も…1人残されたリーダー城島茂の人望が話題になるワケ

  5. 5

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  3. 8

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  4. 9

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  5. 10

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…