「イスラム流 幸せな生き方」常見藤代著
イスラムというと、豚肉はダメ、酒もダメと厳格な「コーランの教え」に縛られた不自由な国というのは間違いという。
例えばラマダン=断食月。約1カ月間断食するというが、それは昼間だけの話で、日が沈めば飲み食いもセックスもOKなのだ。日没後に家族そろって食べる食事「イフタール」には普段よりごちそうが並び、昼間、食事を抜いた分だけおいしいのは当然で、ラマダンのおかげて逆に太ってしまった人もいるくらいだ。
生涯に一度はメッカ巡礼が義務付けられているというのにも、ちゃんと抜け道が用意されていて、行く義務があるのは旅費を出せる人だけでよく、旅費を払って「代理巡礼」してもらうこともできる。イスラムの人々を撮り続けて20年になる著者が、コーランを生きるルールとしているアラブの人々の本当の暮らしぶりを伝えるエッセー。
(光文社 1500円+税)