「上京する文學」岡崎武志著

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「日本の近現代文学の少なからぬ部分」が地方から東京への「上京者」によって形成されてきた。彼らには「生まれ育った町でないからこそ、新鮮な思いで風景や人々を眺める」ことができ、そこには憧れのまなざしがあった。そんな地方出身の文学者たちの作品を読み解きながら、彼らと東京との関係を考える文学案内。

 大学進学を機に上京した村上春樹が、最初に住んだのは見晴らしのよい高台にある学生寮で、ベストセラー「ノルウェイの森」にも登場する。この作品や長編「国境の南、太陽の西」の主人公たちを引き合いに、著者自身が上京した折の心境に迫る。

 ほかに、東京への憧れを屈託なく繰り返し表明した寺山修司や、44歳で家族を置いて単身上京した松本清張など19人の作家たちが登場。

(筑摩書房 840円+税)

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