「ノワールをまとう女」神護かずみ著
東証1部上場の医薬品メーカー、美国堂本社をデモ隊が取り囲んだ。美国堂が傘下に入れた韓国企業の社長が以前、日本の戦争責任を問う発言をしたことから、「美国堂を糺す会」が抗議活動を呼びかけたのだ。
元総会屋の原田の下で仕事をしている西澤奈美は、美国堂からトラブル処理を依頼され、偽名で「糺す会」に潜り込む。奈美はかつて会のリーダーだった木部雅巳と縁があったと偽ったのだが、実は3年前に雅巳を罠にかけて自殺にまで追い込んだのは奈美だった。奈美を信用した会のリーダーのエルチェは、同志を紹介するが、それは奈美の恋人、雪江だった。
トラブル処理を請け負う女性がヒロインの江戸川乱歩賞受賞作。
(講談社 1600円+税)