「こちら横浜市港湾局みなと振興課です」真保裕一著

公開日: 更新日:

 主人公は、横浜市港湾局みなと振興課で働く船津暁帆。採用試験を突破し、あとは将来有望な男をゲットすれば老後まで安泰……というもくろみだったのだが、配属されたのは本庁ではなく離れ小島のような産業貿易センタービル5階。広報や国際交流、施設管理や防災計画などが主な仕事のはずが、港がからむあらゆる雑事が回されてくるのが悩みの種だった。

 ところが、多すぎる仕事を抱えて青息吐息だった暁帆の下に、城戸坂泰成という国立大出のエリートが突然配属された。そのパーフェクトな仕事ぶりを見て、なぜこんなエリートがうちの部署に? という疑念を深める暁帆。そんなある日、カンボジアからの研修生が失踪する大事件が発生するのだが……。

「連鎖」で第37回江戸川乱歩賞を受賞してデビューして以来、「ホワイトアウト」や「奪取」などの作品で数々の賞を受賞している著者の最新作。横浜を舞台に、暁帆と城戸坂の名コンビが次々と舞い込むトラブルを解決していく。氷川丸、コスモワールドの観覧車などでおなじみの横浜を舞台に、港ならではの人と国をつなぐ物語を温かく描いている。

(文藝春秋 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人・田中将大と“魔改造コーチ”の間に微妙な空気…甘言ささやく桑田二軍監督へ乗り換えていた

  2. 2

    福山雅治「フジ不適切会合」参加で掘り起こされた吉高由里子への“完全アウト”なセクハラ発言

  3. 3

    広陵問題をSNSの弊害にすり替えやっぱり大炎上…高野連&朝日新聞の「おま言う」案件

  4. 4

    福山雅治、石橋貴明…フジ飲み会問題で匿名有力者が暴かれる中、注目される「スイートルームの会」“タレントU氏”は誰だ?

  5. 5

    夏の甲子園V候補はなぜ早々と散ったのか...1年通じた過密日程 識者は「春季大会廃止」に言及

  1. 6

    【広陵OB】今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  2. 7

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  3. 8

    福山雅治“ローション風呂”のパワーワード炸裂で主演映画とCMへの影響も…日本生命、ソフトBはどう動く?

  4. 9

    参政党・神谷宗幣代表 にじむ旧統一教会への共鳴…「文化的マルクス主義」に強いこだわり

  5. 10

    国民民主党・玉木代表が維新にイチャモン連発! 執拗な“口撃”は焦りの裏返しなのか?