「紫外線の社会史」金凡性著

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 近年、紫外線は美容の敵、皮膚がんの原因ともされ、気象庁は紫外線情報を提供して、対策を呼び掛けている。さらに紫外線は海洋プラスチックごみ問題を悪化させる要因のひとつとして挙げられるなど、環境問題との関連でも悪役視され、現代人にはどちらかというと避けたい存在になっている。

 しかし、1960年代は紫外線に対するイメージは現在とはかなり異なっていた。紫外線の作用でビタミンDが生成されると、日光浴の健康効果が強調され、さまざまな疾病の治療にも使われていた。衣食住のすべての領域に関わる紫外線を有益、または有害とする言説空間にはどのような違いが存在するのか。

 身近なこの不可視光線に関連する諸問題を考察しながら、日本社会の断面を明らかにする異色科学史。

(岩波書店 800円+税)

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