角川映画、ジブリ、ブルース・リーまで…「さよなら丸の内TOEI」の凄まじいミックス感
東映が強く打ち出しているのは映画会社としての柔軟性と多様性
他に巨匠・内田吐夢監督のミステリー「飢餓海峡」(65年)や今村昌平監督のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作「楢山節考」(83年)、国会でも論議を呼んだ衝撃作「バトル・ロワイアル」(2000年)など東映映画史を語る上で外せない作品はもちろんだが、配給を手掛けたブルース・リー主演の「ドラゴンへの道」(72年)や、石井輝男監督のカルト的ミステリー「江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間」(69年)もラインアップされているのが面白い。
一方で元東映社長の岡田茂が推し進めて60~70年代に量産した、暴力とエロティシズムに彩られた“不良性感度”の映画はほとんど上映されない。今回のイベントで東映が強く打ち出しているのは、配給作品も含めて時代の波に反応してきた、映画会社としての柔軟性と多様性。男臭い娯楽映画のイメージが強い東映とは一味違う、バラエティーに富んだ作品に関わって来た会社の側面が、このイベント全体を見渡せばわかるはずだ。
(金澤誠/映画ライター)
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