「韓国グラフィックデザイナーの仕事と環境 K-GRAPHICIN-DEPTH」後藤哲也編著
「韓国グラフィックデザイナーの仕事と環境 K-GRAPHICIN-DEPTH」後藤哲也編著
韓国発のコンテンツが世界中で人気を博している。一方で、韓国の若い世代は社会や政治に対して積極的に声を上げている。これらの動きをコミュニケーションの面で支えているのが若きデザイナーたちだ。その活動と思想を紹介するビジュアルブック。
まずは、現代韓国文化の象徴ともいえるK-POPを入り口に、ミュージックシーンなどで活躍するデザイナーたちを取り上げる。
オ・ジヘとチャン・ジュノ夫妻が主宰する「SPARKS EDITION」は、ブランドのイメージを構築するブランディングや音楽関連のアートワークを手掛けるデザインスタジオ。
紙製の花束が立ち上がるポップアップカード式のデザインが印象的なボーイズグループ「GOT7」のユギョムの1stミニアルバムや、BTSのリーダーRMのソロアルバムなど、手掛けたパッケージデザインを紹介しながら、インタビューでこれまでの活動や作品制作の背景などを聞き出す。
ほかにも、ブックデザイナーのキム・ドンシンなど、虚偽であっても個人の感情に訴えるものが大きな影響を持つ「ポスト・トゥルース」(脱真実)の時代に、インターネットから離れ、出版活動を通じて思想や表現を共有しようとするデザイナーたちにも注目。
さらに、シン・イナが主宰し、さまざまなNPOの活動にデザインの力で加わるフェミニストデザイナーソーシャルクラブ「Scenery of Today」など、デザインシーンや韓国社会の根底に横たわる課題に向き合うデザイナーも。全部で19のスタジオと7人の学生を紹介。
過酷な現実にデザインの力で立ち向かう韓国の次世代に目が離せない。
(グラフィック社 3300円)