排尿の度に自分で尿道にカテーテルを…坂本ちゃん語る前立腺肥大症との闘い

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坂本ちゃん(芸人/59歳)=前立腺肥大症

 2022年12月下旬、高熱が出たのでコロナウイルス感染症かと思って、自宅にあった検査キットで調べたら陰性でした。なので、ただの風邪だと思って市販の風邪薬を飲んだのです。そうしたら尿が出にくくなってしまって大変でした。

 あとから知りましたが、風邪薬には前立腺肥大症の人が飲むと「尿閉」という状態になる可能性がある成分が入っているんですって。頻尿など前立腺肥大症の疑いがある人は本当に気を付けてください。

 でも、当時はなぜ尿が出ないのかわからないままで、まるで弱火で鍋を煮ているようなグツグツとしたお腹の感覚に耐えていました。小さい頃からガマン強い子だったのです。とはいえ、下腹部も痛くなってきて、どうしようと思っている間に年末になり、元日を迎え、食べることもできず寝たきりで、状況は悪くなるばかり……。

 1月2日になり、救急車を呼んでもいいのかどうか相談ができる「#7119」に電話したんですけど、もう頭が働かなくて受け答えが不審人物っぽくなってしまったせいで、救急病院の連絡先を4件教えていただいただけで終わってしまいました。

 結局、1月4日までガマンして駅前のクリニックを受診し、尿道カテーテルを入れてもらったら、出なかった尿が1.3リットルも出たんです。急に視界が晴れて世界が明るくなった気がしました。「1週間後にまた来てください」と言われて足取りも軽く帰宅したのですが、その後も自力では出ませんでした。また食事ができなくなり、疲れ果てて横たわるだけ。まるで「フランダースの犬」のアニメのクライマックスシーンのようでしたよ。

 約束の1週間後、再びクリニックを訪れると、「こんなにガマン強い人は見たことがない。つらかったら救急車を呼んでいいんですよ」と言われました。血液検査をしたら即入院、人工透析レベルに悪くて、今度はカテーテルを入れっぱなしにしてもらって自宅に帰りました。カテーテルの先には蓋がついていて、開けるとジャーッと出る仕組みです。おかげさまで元気になり、ご飯もモリモリ食べられるようになりました。

 詳しく調べた結果、「前立腺炎」(細菌感染などにより前立腺が炎症を起こす病気)と「前立腺肥大症」(良性腫瘍により排尿障害を起こす病気)と診断され、がんではなさそうだとわかって安心しました。でも、かなり肥大しているので手術した方がいいということになりまして、大きな病院を紹介されたのです。

 2月にその病院へ行って、MRI検査をしました。閉所恐怖症なので怖かったんですが、検査中にずっと“下ネタ”を考えることで恐怖に打ち勝ちました。“下ネタ”って最強(笑)。本当に助かりました。

 その検査で分かったのが肥大のサイズです。正常な前立腺の平均体積は約20ミリリットルだそうですが、私のは100ミリリットル超え。それが尿道を塞いでいたのです。でもすぐに手術とはならず、カテーテルを使って尿を出しながら様子を見ることになりました。

 ただ、長くカテーテルを入れっぱなしにすると細菌が繁殖するので、排尿のたびに自分でカテーテルを挿入してくださいというのです。「え?」と驚くと、「大丈夫、坂本さんならスルッと入りますよ」って先生に言われて、看護師さんにレクチャーを受けました。でも、その方があまりうまくなかったので「自分でやります!」ってやってみたら、本当にスルッと入って先生の言った通りでした(笑)。

 4カ月間、排尿のたびにカテーテルを挿入し、通院したのですが、やっぱり手術が必要だということになり、2023年6月1日に肥大した前立腺を削る手術をいたしました。「手術中に好きな音楽をかけてもいい」というので、大好きな槙原敬之さんのベスト盤CDを持参し、下半身麻酔の中、歌声を聞きながら3時間の手術を終えました。

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