「幸福の憲法学」木村草太著
「幸福の憲法学」木村草太著
幸福を望まない人はいない。では、憲法は幸福に対して、どのような姿勢をとっているのか。
法は、問題に対して何かを与えることで解決しようとすることが多い。金銭的に困窮している人にはお金を、介護で人手が足りなければ介護サービスを与える。しかし、不幸を感じる人に幸福を「与える」ことはできない。だから憲法は「幸福を受け取る権利」や、「幸福になる」権利ではなく、「幸福追求」の権利を保障する(13条後段)。幸福を追求しようとする個人を支え、寄り添うのが憲法の姿勢だと著者は説く。
本書は、プライバシー権や個人の尊重、思想の自由、選択的夫婦別姓、同性婚、共同親権、さらにマイノリティーへの差別意識までを網羅。モヤモヤを抱える人の考えや感覚に、憲法はどう寄り添おうとしているのか解き明かす。
(集英社インターナショナル 968円)