「幸福の憲法学」木村草太著

公開日: 更新日:

「幸福の憲法学」木村草太著

 幸福を望まない人はいない。では、憲法は幸福に対して、どのような姿勢をとっているのか。

 法は、問題に対して何かを与えることで解決しようとすることが多い。金銭的に困窮している人にはお金を、介護で人手が足りなければ介護サービスを与える。しかし、不幸を感じる人に幸福を「与える」ことはできない。だから憲法は「幸福を受け取る権利」や、「幸福になる」権利ではなく、「幸福追求」の権利を保障する(13条後段)。幸福を追求しようとする個人を支え、寄り添うのが憲法の姿勢だと著者は説く。

 本書は、プライバシー権や個人の尊重、思想の自由、選択的夫婦別姓、同性婚、共同親権、さらにマイノリティーへの差別意識までを網羅。モヤモヤを抱える人の考えや感覚に、憲法はどう寄り添おうとしているのか解き明かす。

(集英社インターナショナル 968円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    映画「国宝」ブームに水を差す歌舞伎界の醜聞…人間国宝の孫が“極秘妻”に凄絶DV

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(22)撮影した女性500人のうち450人と関係を持ったのは本当ですか?「それは…」

  3. 3

    慶大医学部を辞退して東大理Ⅰに進んだ菊川怜の受け身な半生…高校は国内最難関の桜蔭卒

  4. 4

    TOKIO解散劇のウラでリーダー城島茂の「キナ臭い話」に再注目も真相は闇の中へ…

  5. 5

    国分太一の不祥事からたった5日…TOKIOが電撃解散した「2つの理由」

  1. 6

    国分太一は会見ナシ“雲隠れ生活”ににじむ本心…自宅の電気は消え、元TBSの妻は近所に謝罪する事態に

  2. 7

    輸入米3万トン前倒し入札にコメ農家から悲鳴…新米の時期とモロかぶり米価下落の恐れ

  3. 8

    「ミタゾノ」松岡昌宏は旧ジャニタレたちの“鑑”? TOKIOで唯一オファーが絶えないワケ

  4. 9

    中居正広氏=フジ問題 トラブル後の『早いうちにふつうのやつね』メールの報道で事態さらに混迷

  5. 10

    くら寿司への迷惑行為 16歳少年の“悪ふざけ”が招くとてつもない代償