長嶋茂雄さんは松井秀喜の背もたれをガーンと蹴っ飛ばし、「巨人の4番道」を説いていた
元巨人二軍監督の内田順三氏による「ユニホーム着続け50年 巨人広島名伯楽の作る育てる生かす」(第34回=2020年)を再公開
“燃える男”、“ミスター”の愛称で国民的人気を誇ったプロ野球元巨人監督の長嶋茂雄さんが6月3日、都内の病院で肺炎のために亡くなった。享年89。選手、監督として数々の伝説、逸話を残した「ミスタープロ野球」は、身近に接した者すべてにそれぞれの「長嶋茂雄像」を強く印象づけてもいる。日刊ゲンダイの連載で多くの球界OBが語ってきたその実像を再構成して緊急公開する。
今回は巨人で打撃コーチ、二軍監督などを歴任しなどを内田順三氏による「ユニホーム着続け50年 巨人広島名伯楽の作る育てる生かす」(第34回=2020年)を再公開。本文中の年齢・肩書きなどは当時のまま。
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長嶋茂雄監督による「4番1000日計画」の英才教育を受けた松井秀喜は、試合中のベンチでは常にホームベース寄りの最前列に座っていた。長嶋監督の真ん前である。
松井が4番に座ってからも、チャンスで凡退し、ベンチで下を向いていると、長嶋監督は松井の背中越しにベンチをガーンと蹴り飛ばした。当然、松井はビックリする。長嶋監督は表情を変えず、前を向いたまま、こう諭した。