「本当はブラックな江戸時代」永井義男著
江戸時代が実はいかに「ブラック」だったかを解き明かす歴史読み物。庶民の子は11、12歳で奉公に出るのが普通で、男の子は商家の丁稚や職人の徒弟、女の子は武家や商家の女中や下女となった。年季は10年で、最低限の衣食住は保証されるが、給与は小遣い程度。住み込みのため24時間勤務と同じで、休みは年に2日しかないという実は過酷な職場環境だった。さらに吉原の女性たちはその上をいく過酷さだったという。
その他、町奉行所の市民を守る意識の低さや、便所は汲み取り式、小便は垂れ流しで異臭を放っていたという長屋、腐った魚が流通していたという食事情など。滝沢馬琴らの日記や浮世絵などを読み解きながら、江戸の現実を明らかにする。(辰巳出版 1400円+税)