「世界一ラクな『がん治療』」近藤誠、萬田緑平著

公開日: 更新日:

 がんの標準治療に異を唱え、「がんと闘うな」という主張で知られる近藤誠医師。外科医として多くのがん治療を経験した後、在宅緩和ケア医に転じた萬田緑平医師。多くのがん患者と向き合ってきた両氏が、がんという病とどう向き合い、どう生きるかを語り合う。

 近藤氏は「がんは本来、亡くなる直前まで、歩いたり話したりできる病気です。むやみに臓器を切り取ったり、抗がん剤を打ったり、点滴をするから、やせ細って苦しみ抜いて、大切な人に『さようなら』さえ言えずに、死ななければならないのです」と言い、萬田氏は「がんと闘わないこと、治療がつらいと思ったら『やめる』ことを選び、自然に任せていれば、がんでも決して、のたうちまわって死ぬことはない。むくみや、腸閉塞や、肺炎の苦しみもない」と指摘する。

「何もしなかった場合の利点」を数多く目の当たりにしてきた両氏は、いわゆる極端な「医療否定」ではなく、安易に可能性が低い手術や抗がん剤治療を行って苦しむより、「治療をあきらめるわけではなく、治療をやめて自分らしく生きる」という選択肢を提示する。治療方針を決めるのは患者自身だが、それを決めるためのひとつの指針が示されている。(小学館 950円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

    花巻東時代は食トレに苦戦、残した弁当を放置してカビだらけにしたことも

  2. 2
    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

    「ダルよりすごい」ムキムキボディーに球団職員が仰天!プロ3、4年目で中田翔より打球を飛ばした

  3. 3
    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

    裏金自民に大逆風! 衆院3補選の「天王山」島根1区で岸田首相の“サクラ”動員演説は大失敗

  4. 4
    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

    22年は尻回りが推定1.5倍に増大、投げても打ってもMLBトップクラスの数値を量産した

  5. 5
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  1. 6
    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

    橋下徹氏&吉村知事もう破れかぶれ?万博の赤字に初言及「大阪市・府で負担」の言いたい放題

  2. 7
    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

    WBCの試合後でも大谷が227キロのバーベルを軽々と持ち上げる姿にヌートバーは舌を巻いた

  3. 8
    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

    大谷の2023年は「打って投げて休みなし」…体が悲鳴を上げ、右肘靭帯がパンクした

  4. 9
    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

    「横浜愛」貫いた筒香嘉智 巨人決定的報道後に「ベイスターズに戻ることに決めました」と報告された

  5. 10
    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う

    河野太郎大臣「私は関わっておりません」 コロナワクチン集団訴訟で責任問う声にXで回答…賛否飛び交う