「喧嘩」黒川博行著

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「喧嘩」と書いて「すてごろ」と読む。意味は素手の喧嘩。第151回直木賞受賞作「破門」の続編にあたる。建設コンサルタントの二宮と、コワモテの元ヤクザ、桑原の迷コンビが活躍する「疫病神」シリーズ最新作だ。

 コンサルタントとは名ばかりで、二宮の生業は「サバキ」の仲介。サバキとは、建設現場のヤクザがらみのトラブルをヤクザを使って処理することをいう。二宮の商売ははかばかしくなく、いつも金欠。しゃべるオカメインコ、マキちゃん相手に、冴えない日々を送っている。

 そんな二宮に、議員秘書をしている高校時代の同級生から仕事が舞い込んだ。大阪府議会議員補欠選挙での票集めをめぐって、ある組とトラブルになり、議員事務所に火炎瓶が投げ込まれたという。当の組の背後には、さらに大きな組の存在が浮かび上がり、二宮はやむなく「疫病神」の桑原にサバキを依頼する。金になると踏んだ桑原は、破門の身を顧みずに暴れまくり、いつものことながら、二宮は振り回される。分け前を減らされまいと踏ん張るも、「やかましい。おまえみたいな・金くれ虫・はいらんわい」と桑原。

 何だかんだ言い合いながらも2人はビジネスパートナー。コテコテの大阪弁の掛け合いが楽しい。(KADOKAWA 1700円+税)

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