「信長と弥助」ロックリー・トーマス著、不二淑子訳
織田信長に仕えていた黒人侍の弥助は、本能寺の変の夜、信長の命を受けて燃え盛る炎から脱出し、信長の嫡男・信忠の元に走った。信忠が明智軍に敗れた後、イエズス会の教会に移送されたが、その後は歴史から消える。弥助はイタリア人宣教師・ヴァリニャーノと、ポルトガル船でマカオから九州に上陸したのだが、そもそも弥助がどこの国で生まれたのかは分かっていない。ヴァリニャーノに雇われた契約労働者だったのか、奴隷の身分から解放されたのかも不明である。
日本在住の英国人の著者が、16世紀の世界の奴隷貿易の状況を調べて、黒人侍・弥助の生涯の謎を解き明かすノンフィクション。
(太田出版 1800円+税)