「移住女子」伊佐知美著
慣れ親しんだ都会暮らしをやめて、地方へ移り住む女性が増えている。環境も仕事も人間関係もガラリと変わる「移住」に、なぜ彼女たちは飛び込むのか。
本書は、そんな「移住女子」の素顔を探るインタビュー集だ。
登場するのは、岩手県遠野市の土地と人に強烈に引かれて農園を始めたファッションデザイナー、ボランティア活動を契機に宮城県石巻市で漁業に関わることになったホテル従業員、理想の子育てを実現するために鳥取県智頭町に移住し幼稚園を始めた母親ら、計8人。
背景に違いはあるものの、共通するのは、都会暮らしに対する疑問と、新しい生き方を開拓しようとするチャレンジ精神だ。
田舎はユートピアではないとくぎを刺しつつも、何があっても生きていける自分になりたい、自分らしく生きられる場所で暮らしたいなど、移住の動機や挑戦の模様が語られる。
田舎ならではの、仕事や結婚、子育てなどについて、新天地で見いだした、それぞれの視点が面白い。(新潮社 1300円+税)