「色いろ花骨牌」黒鉄ヒロシ著
人気漫画家が今は亡き、先輩らとの交遊をつづったエッセー。
20代前半のある日、メンバーが足りないと福地泡介氏から麻雀に誘われた。あとの2人の名前を聞いて仰天。漫画を描き始めたばかりの著者にとっては雲の上の存在、大スターの芦田伸介と高校の教科書にその名が載っていた吉行淳之介だった。以来、三十数年、吉行氏とは赤坂の旅館「乃なみ」で卓を囲み続けてきた。自ら発した言葉には冗談でも責任を持つ吉行氏は、麻雀中の雑談でも翌日に訂正の電話がかかってくるほどだったという。多くのエピソードで、知られざる大作家の人柄を描き出す。
その他、阿佐田哲也氏や秋山庄太郎氏など、そうそうたる9人と多くの脇役たちが登場する極上交遊録。(小学館 600円+税)