「クリスパー」ジェニファー・ダウドナ著、櫻井祐子訳
科学の進歩は地球上のすべての生物の遺伝子コードを操作し、変更することを可能にした。最新の、最も有効な遺伝子編集ツール「CRISPR」を使えば、どんな動植物のゲノムの遺伝子でも挿入、編集、削除することができる。だが、ヒト胚の変異遺伝子を「正常な」遺伝子に改変できるようになれば、正常な遺伝子をより優れた(と思われる)遺伝子にアップグレードしたくなる。心疾患やアルツハイマー病のリスクを減らすために、まだ生まれていない子どもの遺伝子を編集するべきか? 著者は、研究者や生命倫理学者だけでなく、社会科学者や政策立案者、宗教指導者らを巻き込んだ議論が必要だと考えた。
遺伝子編集技術を開発した女性科学者の手記。
(文藝春秋 1600円+税)