「肉弾」河﨑秋子著
大学を休学中のキミヤは、反りの合わない父に連れられて釧路空港に降り立った。車で裏摩周に行き、駐車場で売店の人間に見つからないように銃と荷物を降ろした。鹿狩りに来たと思ったら、父は熊を撃つという。笹やぶで野営をした翌日、後ろから吹きつける風に生臭さを感じ、父に呼び掛けると、振り返った父とともにぶっ飛んだ。ライフルを撃つ父が熊に襲われるのを見て、キミヤも引き金を引く。そのとき、数頭の犬が熊に飛びかかった。山奥にひとり取り残され、熊と野生化した犬に狙われながら逃げるうちに、キミヤの中で生きる本能が目覚めていく。
ひ弱な青年のサバイバル小説。
(KADOKAWA 1600円+税)