「学歴入門」橘木俊詔著
日本社会の中で重要視されてきた学歴について、さまざまな視点から論じたテキスト。
明治18(1885)年に学校が制度化され、小学校、旧制中学校、旧制高校、旧制大学という4つの教育段階が整えられた。当時は小学校で教育を終える人がほとんどで、旧制中学に進学するのは同年齢の35%、旧制高校は5%ほどだった。明治・大正の頃、社会で一番のエリートの官僚を数多く輩出したのが帝国大学だった。ゆえに著者は、現代の学歴社会は官僚制度がつくり出したと指摘する。
こうした学歴の成り立ちから、人はなぜ教育を受けるのか、学校で何を学ぶべきかという本質的な議論や、公立と私立の教育効果の差、さらに海外の学歴事情まで幅広く論じる。(河出書房新社 680円+税)