「歌うエスカルゴ」津原泰水著
弱小出版社で働く柳楽は、社長の高嶋から巻き貝や渦潮など、らせん状をこよなく愛する写真家・雨野を訪ねるよう指示される。翌日、吉祥寺で立ち飲み店を営む雨野の実家を訪ねると、彼は店を改装してエスカルゴをメインにしたフランス料理店にすると言い出す。話の趣旨が理解できず戸惑う柳楽は、雨野から自分が会社をクビになったことを教えられる。
柳楽が調理師免許を持っていることを知る高嶋が、雨野に推薦したらしい。会社が倒産寸前だと知り、仕方なく応じた柳楽は、雨野に連れられ伊勢に向かう。伊勢には雨野がこよなく愛するエスカルゴ・ポマティアの養殖に人生を捧げている男がいた。
エスカルゴ以外の料理も多数登場する料理エンターテインメント。(角川春樹事務所 700円税)