統計のカラクリに騙されちゃいけない…「実質賃金3カ月ぶりマイナス」の実態は「34カ月連続マイナス」
<実質賃金 1.8%減 3カ月ぶりのマイナス>
厚生労働省が10日、2025年1月の毎月勤労統計(速報)を公表し、新聞やテレビでこのように報じられた。
名目賃金にあたる現金給与総額は2.8%増の29万5505円で37カ月連続のプラスだったが、統計に用いる消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が4.7%も上昇し、物価変動を考慮した実質賃金は、前年同月比で3カ月ぶりにマイナスとなったのだ。
名目賃金はずっとプラスでも、物価がそれを上回るから、実質賃金が追いつかない。ただし、「3カ月ぶり」だから、前月、前々月は前年同月比プラスだったということ。実際、直近では昨年11月が0.5%増、12月が0.3%増。さらに遡ると、6月が1.1%増、7月が0.3%増のプラスだった。
この4つの月には共通項がある。いずれも多くの事業所の「ボーナス支給月」だ。
名目賃金には「きまって支給する給与(所定内給与など)」と「特別に支払われた給与」という項目がある。例えば、12月の「きまって支給する給与」は2.4%増にすぎないのに、「特別に支払われた給与」は6.2%増。つまりボーナス分の大幅上乗せで、かろうじて実質賃金がプラスになっただけなのだ。
■関連記事
-
語り部の経営者たち 象印マホービン 市川典男社長(3)高級炊飯器がヒットもライフステージにあわせて選ぶことができる製品を…
-
語り部の経営者たち 象印マホービン 市川典男社長(2)家庭用品メーカーのトップブランドを目指して…“CM戦略”が大当たり
-
注目の人 直撃インタビュー リゾート開発計画に揺れる野沢温泉村の村長に聞いた「ニセコでも白馬でもない独自文化の根付く唯一無二の村をつくる」
-
「もうけびと」に聞く金儲けの秘訣 ゴキブリ駆除で業界革命を起こした男に聞いた 完全駆除率99.5%、リピート率97.9%の秘密
-
クルマは乗らなきゃ語れない 新型ダイハツ ムーヴに初試乗! スライドドア化は是か非か? 王者ホンダN-BOXと比べてみた
-
経済ニュースの核心 「エムット」の商標巡り“ニアミス”騒動も…三菱UFJ銀はポイント還元率最大20%ブチ上げ預金獲得強化へ