「真実」梶芽衣子著
梶芽衣子の自伝である。梶がデビューしたのは日活。本名の太田雅子の名で、幾本かの映画に出演していたのだが、マキノ雅弘監督と出会い、梶芽衣子の名を与えられる。そして出合ったのが「野良猫ロック」シリーズ。当時、彼女は自分自身のキャラについて自問自答していて、思いついたのが“非行少女”。まさに時宜を得たオファーが舞い込んだのだ。
1971年日活を退社した彼女の元に届いた出演依頼、それが後に空前の大ヒットとなる「女囚さそり」だった。最初は出演を渋っていた梶だが、原作の漫画を読んでいて、ふと思いつく。
「ヒロインがまったく言葉を発しなかったら面白くなるんじゃないか」
他に勝新太郎、高倉健との出会いから、結納まで交わした相手との別れまでをつづる自伝。
(文藝春秋 1350円+税)