松野大介の意欲作「インフォデミック」 コロナ報道でテレビは視聴者をどうダマしてきたか

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 日刊ゲンダイでインタビュー記事を手がける松野大介氏は、かつて中山秀征とABブラザーズでコンビを組んでいた元タレント。

 80~90年代に活躍後は作家デビュー、今週、コロナ報道の実情を描いた小説「インフォデミック~コロナ情報氾濫」(講談社)を上梓した。ワイドショーの制作現場を舞台に、コロナ報道のあり方を問う意欲作。話を聞いた。

「新型コロナがはやり始めた2年前の3月ごろ、私はニュースやワイドショーを見て、かなり恐怖を感じていました。でも、芸能人の感染死をセンセーショナルに報じたり、第1波のあとに『人出増加! 気の緩み』と報じた際に過去の映像を使用する不正が発覚したあたりで『あおり報道だ』と気がついたんです」

「この2年間の言いっ放しはひどいですね。『2週間で数十万人死にます』と言っておきながら2週間の死亡者数が桁違いに少なくても弁解しなかったり、小池都知事の言う通りに飲食店を感染源として大きく報じて『自粛警察』を生み出したり。検証も一切しない。昨年の五輪では『感染拡大の危険』を訴えたあとのコーナーで『メダルに期待の選手にインタビュー!』するダブルスタンダードぶり。そんな整合性がない不誠実なテレビ報道に違和感を持った方も多いでしょう。テレビ内部の経験がある私なら、それを小説にできると思いました」

「言いっ放し」を検証しなければ…

 興味深いのは、モデルとなる番組や政治家が登場するところ。

「実名ではありませんが、大坪さんとか、誰のことかはわかります(笑)。日本ではメディアを批判する小説は皆無です。今はコロナが収まりつつありますが、次なる感染症が流行する前に、『言いっ放し』を検証しないと、テレビがまた視聴率や利権のために『あおり』に走るかもしれないと思っています」

 本書はコロナ禍の2年余が時系列で書かれ、読みやすい。この2年以上、視聴者がどうだまされてきたかもわかる。読むなら、今かも。

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