不眠改善の薬は睡眠薬に限らず…痛みで眠れない人には痛みの調整を
当院で在宅医療を受けている高齢の患者さんの中には、不眠症に悩んでいる方が少なくありません。民間のある調査によると、日本人の20~30%が不眠の症状を抱えているというデータもあり、不眠症は高齢者に限らず、現代人全体に広がる代表的な症状ともいえるでしょう。
不眠症になると、「倦怠感」「意欲や集中力の低下」「食欲不振」など、心身にさまざまな影響を及ぼし、患者さんのQOL(生活の質)を大きく損なってしまう可能性があります。
不眠症にはいくつかのタイプがあります。寝つきが悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めて二度寝できない「早朝覚醒」、そして十分に眠った感覚が得られない「熟眠障害」です。どのタイプに当てはまるかを見極めることは、不眠の原因を特定し、その方に合った治療法を考える上で非常に重要です。私たちは、患者さん一人一人に丁寧かつ継続的なヒアリングを行いながら対応しています。
ヒアリングを通して、不眠の原因も徐々に明らかになってきます。たとえば「病気による痛みや不安」といった心理的要因、「加齢による生活リズムの変化」や「日中の活動量の低下」「夜間頻尿」など、原因の多くは高齢者特有のものです。ですので、それぞれの患者さんに合わせた個別の対応が欠かせません。