「世界の炎上」藤原帰一著
「世界の炎上」藤原帰一著
2020年以降の世界を見つめた国際政治評論。
この足かけ6年、世界は炎上したとしか評するほかないほど混乱が続いた時代で、その炎上はいまだ続いている。その中心的な事件がロシアのウクライナ侵攻と、イスラエル・パレスチナ戦争だ。加えて米中関係も著しく緊張し、世界は冷戦時代のように東西に分断されてしまった。
国際緊張が高まる中で、第2期トランプ政権が始まった。トランプ政権が次々と繰り出す常軌を逸した政策は、すべて覇権からの自発的な撤退のためだと著者は指摘する。国際秩序から撤退するアメリカは力による支配の拡大に向かい、デモクラシーの帝国からプレデターの帝国に変化しようとしていると。
なぜこのような世界になってしまったのか、時をさかのぼりながら検証する。 (朝日新聞出版 990円)