芸能人の番組・CM降板…莫大な違約金報道の信ぴょう性と過剰なまでのCMキャンセルの謎に迫る
それなら数十億円とも言われる莫大な金額は、全額がタレント側が企業側に与えた損害額だけで到達する額なのだろうか。番組・CM降板に伴う違約金のシステムについて、民事訴訟に詳しい山口宏弁護士が言う。
「タレントがCMに出演する際、芸能事務所と企業側との契約書に『損害賠償額の予定』を入れておきます。これがいわゆる違約金に当たります。そして問題が起きた時、違約金はできるだけ具体的に算定されなければいけません」
■商品そのものの人気のピークが過ぎたということも考えられる
タレントがいわゆる「不祥事」を起こした場合、CMを作り直す費用のほかに、そのタレントがCMに出ていたことによってどれだけ売り上げが下がったかを具体的に算出しなければならないという。それ加えて、山口氏によると、「売り上げが下がったといっても、その分がタレントの責任として認められるとは限りません。商品そのものの人気のピークが過ぎたということも考えられるからです」。
となると、裁判になれば実際にタレント側に請求している「損害賠償額の予定額」が全額認められるとは限らないように思われるし、報道のように賠償額が40億~50億円になるかどうかについてもいったん立ち止まった方が良さそうにも思える。