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カモシダせぶん書店員芸人

1988年、神奈川県生まれ。お笑いコンビ「デンドロビーム」(松竹芸能)のメンバー。日本推理作家協会会員。現在、都内の書店でも働く現役の書店員芸人。著書に「探偵はパシられる」など。

公開日: 更新日:

「神の光」北山猛邦著

 先日、日本推理作家協会賞の候補が発表された。私も推理小説を出してる身なのだが入らず……自分はまず鍛錬と思い改めて候補を見てみると、3年前も見たタイトル「神の光」が。調べると3年前は短編部門でノミネートされていたのだが、後にこの短編を含む小説集「神の光」として発刊され、こちらが本年の長編及び連作短編集部門の方で候補に入ったのだ。「2026本格ミステリ・ベスト10」で1位になってたし、私も大好きな1冊なのでまた候補に入ったのがうれしい。

 それぞれの短編のクオリティーが高いので全て紹介したいところなのだがそうすると大幅に字数オーバー、私がこの連載から消失してしまうかもしれないので、特に驚かされた表題作のあらすじを。

 2020年のニューヨーク、ギャンブルで負け、酒場で飲んだくれていた1人の男。そんな彼に別の男が不思議な勝負を持ちかける。「何か1つ謎を出してくれ、その謎を私が解けたら私の勝ち、解けなかったら君の勝ちだ」こう言われた男は自分の祖父が若いころ経験した奇怪な現象について語り始める。祖父もまたギャンブルに夢を求める性分で、ラスベガスのカジノに行くのだが、そこで更に高レートで金が動く裏カジノがある街の噂を聞く。祖父はその街へ向かい、裏カジノで大勝ちし、街の近くの小屋で一夜を過ごす。眠る前ふと空を見ると小さな光が高速で横切った。流れ星にしては大きすぎる。ロズウェル出身だった祖父は、地元で起きたUFO騒動が脳裏をよぎった。翌朝、目を覚ました祖父は更に信じられない光景を目にする。消えているのだ、裏カジノがあった街が。丸ごと。あまりにも巨大な消失、どうやって街は消えたのか、そして前夜に見た光はなんだったのか……。

 ミステリーだけでない、SFのワクワクもあり、事件の提示だけでかなり大満足、ゆえにハードルが上がり、さまざまな予想をしながら読んでいたのだが結末はその予想を大きく超えるもので本当に驚かされた。気持ち良く裏切られる素晴らしいミステリー短編だった。オチの一文もセンス抜群でしびれる。

「神の光」は今度こそ日本推理作家協会賞に輝くのか。一ミステリー好きとして結果を楽しみにしている。

(東京創元社 1980円)

【連載】書店員芸人カモシダせぶんの「いい本入ってますよ!」

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