著者のコラム一覧
佐藤雫作家

1988年、香川県生まれ。「言の葉は、残りて」で第32回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。著書に「白蕾記」「花散るまえに」ほか。

(15)頬に手を伸ばし、そっと涙を拭う

公開日: 更新日:
イラスト・鈴木ゆかり

「殺されたんだ。十年前、あの漆林で……」

 そう言った途端、漆黒の瞳がみるみる潤んで、その頬に涙が零れ落ちた。

 夕風が吹き、梢が揺れて、漆の甘い匂いがした。目の前のサキの頬がとめどもなく濡れていくほどに、その甘い匂いは強くなっていく。

 まるでサキの涙が、漆の… 

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【連載】江戸おんな職人余録 第四弾 漆の一滴

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