昨年の3.6倍と「はしか」が急増…たかだか“200人余り”でなぜ騒ぐ?

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 麻疹(はしか)の感染拡大が現実の脅威となりつつある。国立健康危機管理研究機構(JIHS)が公表した感染症発生動向調査(第14週、3月30日~4月5日)によると、今年の患者数は236人に達し、昨年同期の約3.6倍に急増した。直近10年で最多だった2019年(382人)に迫る勢いで、「いまは流行の入り口」との見方もある。「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に話を聞いた。

「人口1億2000万人の日本で、“たかだか200人余りのはしか”でなぜ騒ぐのかと思う人もいるかもしれません。しかし、それは間違いです。麻疹は極めて感染力が強い病気です。免疫のない集団では1人の感染者が10人以上に広げるとされる“空気感染”の代表的疾患なのです」

 しかも麻疹は発症前日から感染力を持つ。そのため、気付かぬうちに周囲へ拡散し、医療機関や学校、職場などで一気にクラスターが形成されるリスクが高い。今年は従来多かった海外からの持ち込みに加え、渡航歴のない国内感染例が目立っており、流行の質が変化している点も見逃せない。

 最も多くの患者数が報告されている東京都では警戒が強まっている。JIHSが3月に感染症週報で麻疹を「注目すべき感染症」としたのに続き、東京都感染症情報センターは4月、「麻疹が増加しています」と注意喚起を発出した。

 報告症例の分析では推定感染場所の63%が医療機関や家庭内など国内であり、年齢層も10代が32%、20代が25%と若年層が中心となっている。ワクチン接種が不十分な世代の存在が、感染拡大の温床となっている可能性がある。

 現場ではすでにクラスターも確認されている。3月初旬には新宿区の飲食店で20代男性従業員9人の集団感染が発生。いずれも海外渡航歴はなかった。別の症例では、発症前日に大学講堂に約2時間滞在した後、新幹線で地方へ移動し、数日後に再び東京へ戻っていたケースも報告されている。さらに職業安定所の利用者や航空機搭乗者の感染も確認されており、不特定多数が行き交う空間を介して感染が広がるリスクが浮き彫りとなっている。

「そもそも麻疹は、麻疹ウイルスの感染によって発症します。初期症状は、発熱や咳、鼻水、結膜充血など風邪に似ていますが、その後、39度以上の高熱と全身の発疹が出現します。潜伏期間は10~14日と比較的長く、感染に気付きにくい点も厄介です。乳幼児などでは肺炎や脳炎などの合併症を引き起こすことがあり、まれに致死的となる場合があります」

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