「雲のうえの千枚ダム」西谷大著

公開日:  更新日:

 ミャンマー、ラオス、ベトナムの3カ国と国境を接する中国の雲南省には、雲海の上に広がる大棚田地帯がある。本書は、この大棚田を有する海抜およそ1100メートルの金平県者米谷に、約10年間住み込んで行ったフィールド調査をもとにまとめたルポルタージュだ。

 者米谷は、タイ族をはじめ、アール、ヤオなどの8つの少数民族と漢民族が暮らす政治的に微妙な地域で、等高線の入った地図は販売されていない。

 このため、まず人の集まる市で情報収集から始めなければならなかった。たとえばタイ族の場合、水田をドジョウやウナギを捕るためにも利用する。タイ族の女性が結婚相手を選ぶ際には、動物性タンパク質を手に入れてくれるこの水田漁労のうまい男性がもてるというのも面白い。

 なお、現在、雲南省内では外国人による調査の許可が下りないため、本書は民俗学的な資料としての意味も持つ。

 大棚田地帯の光景と人々の表情をとらえた写真も収録されている。(社会評論社 2400円+税)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    森友問題の反省ナシ…昭恵夫人が公然と野党批判の“妄言”

  2. 2

    第2の加計問題? “漁業潰し”仕掛人は規制改革のメンバー

  3. 3

    巨人マギーの報われない退団 「世代交代」とは遠い実情

  4. 4

    自画自賛が一転…“イッテQ疑惑”対応を誤った日テレの痛恨

  5. 5

    原爆Tシャツ、ナチス帽…「BTS」日本への“本格進出”は白紙

  6. 6

    呆れた安倍内閣 「徳」なし総理の下「徳」なし大臣集まる

  7. 7

    巨人のFA丸獲得は“天敵”広島対策 最強オプションの提示も

  8. 8

    巨人原監督“正捕手起用”の意向…炭谷のFA補強に西武OB警鐘

  9. 9

    原監督は明言も…巨人・岡本「来季三塁構想」の信ぴょう性

  10. 10

    巨人が"第3捕手"と"右の代打"に年俸1.5億円ずつは本当か

もっと見る