「声が通らない!」新保信長著
飲食店で「すいませーん」と店員を呼んでも気づいてもらえないときは情けない思いをする。「通る声」と「通らない声」はどこが違うのか。
大きな声を出すには腹式発声が必要で、腹式発声をすると3000ヘルツ付近の周波数成分が強く出る。これは人間の耳が一番感知しやすい周波数で、ノイズがある環境でも聞こえやすい。
人の声に含まれる周波数のうち、他の音域より強く出る部分を共鳴周波数という。普通の歌手は共鳴周波数帯が3つだが、井上陽水は5つもある。
また、エアコンや調理器具などの音は周波数が高く、「す」や「注」のような歯擦音、破擦音を消してしまうため、客の声が聞き取りにくくなる。
「通らない声」の原因を探るルポルタージュ。
(文藝春秋 1300円+税)