著者のコラム一覧
神田松鯉講談師

昭和17年生まれ。群馬県出身。新劇・松竹歌舞伎などの俳優を経て、昭和45年2代目神田山陽に入門。昭和52年真打ち昇進。平成4年3代目神田松鯉を襲名。令和元年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。

近ごろは落語家が「講談を教えてほしい」と稽古に来ます

公開日: 更新日:

 寄席に行けば落語も講談も楽しめるが、落語と講談はどう異なるのだろう。改めて松鯉師匠に聞いてみた。

「落語は噺家というように“話す芸”、講談は物語を“読む芸”です。講談は耳で聴く物語なんです。どうやって美しく奇麗に物語を読んで、お客さんに届けるかが大事です。七五調で調子をつけて、お客さんを引きつけ退屈させないようにして。反対に落語はほとんどセリフで成り立っている。笑いを誘うオチのある『落とし噺』が発祥で、幕末から明治時代にかけて、初代三遊亭円朝が親子や夫婦の情愛を描いた人情ものを自作自演でやり始めたら人気になって『人情噺』の礎となった。それが落語の骨格です。

 講談には落語の『落とし噺』のジャンルはなくて、落語の『人情噺』に対して、『世話講談』というジャンルがあります。それから講談には『太平記』や『源平盛衰記』などの『軍談』があります」

 落語と講談、同じネタをやることはあるのだろうか。

「実は講談ネタを落語にしたものはたくさんあります。例えば、同じネタを講釈師がやると『世話講談』になり、落語でやると『人情噺』になるわけです。最近はいろんな落語家が私のところに講談を教えてほしいと稽古に来ますよ。近ごろはお客さんがしっかりした筋のある物語を聴きたいという流れになっている。世の中が変わってきてるんですね。そんな雰囲気に気がついた落語家が講釈師に講談を教わろうって思うんでしょうね」

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  2. 2

    《もう一度警察に行くしかないのか》若林志穂さん怒り収まらず長渕剛に宣戦布告も識者は“時間の壁”を指摘

  3. 3

    元フジテレビ長谷川豊アナが“おすぎ上納”告白で実名…佐々木恭子アナは災難か自業自得か

  4. 4

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 5

    フジテレビ騒動で蒸し返される…“早期退職アナ”佐藤里佳さん苦言《役員の好みで採用》が話題

  1. 6

    "家族総出"で話題の長渕剛「桜島ライブ」延期と引退報道…ファンからは《あの問題説明して》と懇願

  2. 7

    若林志穂さん「生活保護受給」をXで明かす…性被害告発時のアンチ減り、共感者続出のワケ

  3. 8

    中居正広は「地雷を踏んだ」のか…フジテレビに色濃く残る“上納体質”六本木『港会』の存在

  4. 9

    中居正広氏は37年で築いた資産喪失の瀬戸際…不動産複数所有で倹約家も「違約金+α」の脅威

  5. 10

    フジ・メディアHD経営刷新委に吉田真貴子氏の名前…"高級和牛ステーキ接待"で辞職→天下り疑惑の元総務官僚

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  2. 2

    阪神・藤川監督が酔っぱらって口を衝いた打倒巨人「怪気炎」→掲載自粛要請で幻に

  3. 3

    「二刀流」大谷翔平と「記録」にこだわったイチロー…天才2人の決定的な差異

  4. 4

    中居正広氏は37年で築いた資産喪失の瀬戸際…不動産複数所有で倹約家も「違約金+α」の脅威

  5. 5

    フジテレビにとって“CMスポンサー撤退”より危険な「致命的リスク」とは? 企業危機管理の専門家がズバリ

  1. 6

    “天皇”日枝久氏しか知らない「ジャニーズ圧力」「メリーの激昂電話」 フジテレビは今こそ全容解明を

  2. 7

    橋本環奈『おむすび』はNHK朝ドラ視聴率ワーストほぼ確定…“パワハラ疑惑報道”が致命傷に

  3. 8

    巨人の50億円助っ人マルティネス 真面目でお人よしなだけに深刻な「2つの重圧」

  4. 9

    “かつての名門”武蔵の長期低落の深刻度…学習塾「鉄緑会」の指定校から外れたことも逆風に

  5. 10

    リアル店舗にこだわり続けるホビーショップ 経営危機からのV字回復は「脱 安売り」だった