阿部巨人は「我慢、我慢、ひたすら我慢」が戦略…原前監督の2021年10連敗V逸が“反面教師”
「オールスターまでに貯金が1つでもあれば上々」
巨人の阿部慎之助監督(46)は6月30日にこう言ってから甲子園に乗り込んだ。
「前半戦のヤマ場と言われるけど、本当のヤマ場はもっと先」
首位阪神が交流戦で7連敗を喫するなど、モタモタしていることもあり、この3連戦前は3.5ゲーム差で貯金は2だった。少しでも詰めることができればいいが、主砲の岡本和真(29)が長期離脱中だけに、「貯金は1あれば十分」と控えめ。ズルズル借金生活になることだけは避けたいのだろう。
巨人OBで元投手コーチの高橋善正氏(評論家)がこう言う。
「1日の初戦を見ても、阪神の藤川監督は2-0の五回に、そこまで無失点に抑えていた先発・才木を降板させた。一方で2点を追う阿部監督は、先発の西舘勇陽(23)を五回の打席に向かわせ、六回も続投させた。五回終了時点で球数が70球と少なかったとはいえ、負けている展開だけに、原前監督だったら代打を出して攻撃に転じていたかもしれない。ただ、今からそれをやっていたら、勝負どころの9月以降に、リリーフ陣が疲弊してしまう。阿部監督は今はじっと我慢しているように見えます」
■田中将大より横川凱を先発させる意味
エース戸郷翔征(25)の二軍落ちに伴い、3戦目に日米通算200勝まであと2となっている田中将大(36)を投入する選択肢もあったが、阿部監督が見送ったという。
「この3連戦の先発投手は、西舘、井上温大(24)、そして二軍戦で好投を続けていた田中将ではなく、中継ぎに回っていた横川凱(24)が指名された。田中将より横川というところに、若手優先という思いを感じます。9月以降に誰が使えるのか、我慢しながら見極めているところもあるでしょう」(前出の高橋氏)
阿部監督の頭の中には、9月以降に大失速し、V逸した2021年のことがあるという。
「原監督の強い要望を受け、宮本投手チーフコーチが『中5計画』と命名し、9月1日から先発投手を5人に限定。さらに、6連戦初戦を投げた投手は、中4日で6戦目に先発するサイクルを続けた結果、9月は6勝14敗5分け、10月も4勝11敗3分けと大失速。これも原監督の方針でリリーフ陣の3連投は当たり前だったが、10連敗もあって投手陣が崩壊。翌年からリリーフ陣の3連投は禁止になった。二軍監督から翌年一軍作戦コーチに就任した阿部監督は、この年を反面教師にしているようです」(巨人OB)