「昭和の消えた仕事物語」澤宮優著
「昭和の消えた仕事物語」澤宮優著
コスパ、タイパ重視とともに人手不足も相まって社会のあらゆる場所で無人化が加速する現代。社会から姿を消した昭和の職業を紹介しながら、人と仕事のあり方を問うルポルタージュ。
まず、日本最後の放浪詩人・高木護氏の人生とその言葉を紹介。氏は生涯に約120種もの仕事に就いたという。戦後、復員したがなかなか仕事が見つからず、最初に就いたのが炭焼きの仕事だった。以降、作男(農家の住み込み奉公人)や、闇市番人など、その足跡をたどることで、かつてどんな仕事が存在し、消えていったのかを明らかにするとともに、貧困など当時の社会的病理も浮き彫りにしていく。
以降、蓆(むしろ)を直す「ねこぼくや」や鋳掛屋など消えた仕事とかつてそれらに携わった職人たちの姿を紹介する。
(KADOKAWA 1320円)