ロンドン五輪惨敗の責任を取って辞任した篠原信一の後を継いで、著者は全日本男子強化チームの監督に就任した。日本の柔道界は伝統を守ることにとらわれているが、それではいけない。他国の柔道は、それぞれの国で育まれた格闘技などの要素を取り入れて独自のスタイルをつくっている。
選手引退後、英国に留学した井上は、各国のチームの練習時間が日本よりずっと短いのに強いことに目を向けた。そして、彼らが現実の試合と試合進行に合わせた効率の良い練習をしていることに気がついた。
リオデジャネイロ五輪で、監督として東京五輪以来の「全階級メダル獲得」を達成した井上が、日本柔道の「改革」を語る。(ポプラ社 1500円+税)