「江戸は浅草」知野みさき著
心機一転を期して上方に向かうことにした元矢師の真一郎は、道中、軒を借りた寺で鬼の面をかぶった女と一夜を共にする。翌朝、当座の金を工面するため、真一郎は両替商の隠居・久兵衛に用心棒兼雑用係として雇われる。久兵衛が持つ長屋の一室をあてがわれた真一郎は、そこで昨夜の女・多香と再会する。
多香は、昼は矢場で矢取り女として働き、夜は寺の本堂で面を打っているらしい。多香が気になり、彼女が働く矢場に通う真一郎は、ある夜、矢取り女のおみきに相談事があると茶屋に呼び出される。翌朝、神社の裏で出刃で刺されたおみきの遺体が見つかり、真一郎は岡っ引きの取り調べを受けるはめになった。(「六軒長屋」)
個性豊かな六軒長屋の住人たちを主人公にした時代エンターテインメント。
(講談社 680円+税)