「江戸ねこ日和 小料理のどか屋 人情帖22」倉阪鬼一郎著

公開日: 更新日:

 天保5(1834)年の師走、旅籠付きの小料理のどか屋を営む時吉とおちよ夫婦は、1カ月前に大往生を遂げた看板猫のどかのことが思い出されてならない。三河町、岩本町、そして現在の横山町へと、大火に見舞われ、ともに渡り歩いてきた、いわば店の守り神のような猫だった。

 おちよは、皆から愛されたのどかのためにお参りができるような祠をつくって、猫をかたどったお地蔵様を据えたい。常連客の大工衆に相談すると、早世した息子に代わって修業を始めた初次郎が祠づくりに名乗りを上げてくれた。さらに地蔵は旅籠の客の僧侶の口利きで秩父の名工がつくってくれることになった。

 うまそうな料理の数々とともに展開する人気時代小説シリーズ最新刊。

 (二見書房 648円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ