「家賃滞納という貧困」太田垣章子著
近年、賃貸物件の家賃滞納が増加しているという。家主側の訴訟代理人として、これまで2200件以上の物件で滞納者と向き合ってきた司法書士の著者は、家賃滞納は貧困への入り口であり、そのシグナルでもあるという。本書は、さまざまな例を紹介しながら、誰もが滞納に陥る可能性を秘めているそのつまずきのポイントを解説したテキスト。
大手広告代理店に勤務していた30歳の相馬さんは起業を機に家賃滞納に陥ったが、起業に反対した妻に相談できず、妻はある日、裁判所から強制退去の執行官が訪ねてきて初めて事態を知った。
その他、独立した3人の子供に頼りたくないという一人暮らしの母親、突然連絡がつかなくなり行方が分からない高齢者など。
18の事例から日本が抱える闇が浮かび上がる。
(ポプラ社 800円+税)