「パワースポットはここですね」髙橋秀実著
日本にある世界遺産を巡ろうと考えたのだが、途中で目的地を「パワースポット」に変更した。JR高崎駅の観光案内所で尋ねたら、「一番は榛名神社です」。榛名山は地元の人びとの祖霊が登る山として信仰されて格式高い神社が建立され、後に密教の行者の修行の場、「満行宮榛名寺」となった。明治になると神仏分離令により再び「榛名神社」に。時代の要請に合わせて「とりあえず」形を変えてゆく。
本居宣長は、人間の知恵には限界があるから、神のことをあれこれ言うべきではなく、ただ尊さを尊み、畏きを畏むべしと戒める。これはまさに「とりあえず」の境地である。
他に三途の川など、日本人の信仰を探るルポルタージュ。
(新潮社 1500円+税)