「水が消えた大河で」三浦英之著

公開日: 更新日:

 日本一の河川、信濃川・千曲川水系で起きたJR東日本の不正取水事件を追うルポルタージュ。

 信濃川は、最大出力600万キロワットもの電気を起こす「電気の川」でもある。電気は、川から取った水を導水管によって下流に放流する水路式と呼ばれる発電ダムによってつくられる。

 1990年、JR東日本の新発電所の稼働によって、信濃川中流域は慢性的な水枯れ状態に陥り、魚は死に絶え、大河の風景は一変してしまう。やがて同社が長年、許可水量以上の取水を続けていたことが発覚する。1984年、十日町市が国鉄に大量取水を許可した背景から取材を進める一方で、ふるさとの川を守ろうと立ち上がった人々の闘いを伝えながら、後の原発事故につながる地方を犠牲にするエネルギー事業の構造的問題を問う。

(集英社 680円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾