「アフリカ人学長、京都修行中」ウスビ・サコ著
「京都人コード」とは、おだやかな口調に込められた、わかりにくい「NG」サインだ。マリ共和国からやってきた著者は、京都大学大学院生時代に「京都人コード」に遭遇した。自宅でホームパーティーをすると、翌朝、近所の人が「なんか楽しそうやねえ」と満面の笑みを浮かべながら言う。「自分もこの町の一員になれたんだ」と安堵していた。
ところが、サッカーワールドカップの応援をしていたら、警官がドアを叩いた。近所から、やかましいと苦情がきているという。冷静になって考えてみたら、ホームパーティーの翌日の「楽しそうやねえ」は、実は苦情だったのだ。
よそ者には理解しにくい「いけずな町」で、京都精華大学の学長が体験した悪戦苦闘の日々。
(文藝春秋 1540円)