「乱世を看取った男 山名豊国」吉川永青著
清和源氏の末裔である山名家は、日本66州のうち11州を領して六分の一殿と呼ばれるほどの名家であった。だが、山名宗全が応仁の乱を起こしたことから凋落する。
ある日、山名豊国のもとにひとつの知らせがもたらされた。足利将軍家の同族、今川義元が、「大うつけ」と蔑まれていた織田信長に討たれたという。戦乱の世には家名や昔の栄華など、何の役にも立たない。山名家を悩ませていた尼子晴久が世を去り、次いで山名宗家の嫡子である従兄が毒殺される。豊国は、そのとき、兄・豊数の様子に不審なものを感じた。
山名家再興を悲願としながら、乱世のなか裏切りを繰り返し、家を潰した武将を描く。
(角川春樹事務所 1870円)