「新風記」吉川永青著

公開日: 更新日:

 日向の里長、ウガヤフキアエズは日読みを行って刈り入れの日を決める。嵐の前触れを見て、「このたびの刈り入れは、4日で終えねばならん」と命じた。四男のホホデミがヌマクラジの田の刈り入れを手伝いに行くと、子どもが足が膿(う)んで熱を出している。次男のイナヒの剣で膿を切ると、驚くほどきれいに切れた。その剣は、干し肉と交換して手に入れたものだった。これだけの技を持つ鍛(かぬち)がいれば、良い鍬(くわ)が作れて、やせた土地でももっと多くの米が取れるのではないか。

 次の夏、ホホデミらはその剣を手に入れた面土に向かう。そこにはおびただしいほどの田が広がり、その眺めにホホデミは言葉を失った。

 日本の興りを描く壮大な歴史小説。

(講談社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは