「ぜにざむらい」吉川永青著

公開日: 更新日:

 若狭国太良荘城主、岡盛俊の嫡子、7歳の源八は父が戦死したとの報を受け、若江藤右衛門に背負われて城から脱出した。だが、追っ手をかわすために藤右衛門と離ればなれになり、百姓に脇差しまで奪われて必死で小浜の港にたどり着く。

 飢えに苦しむ源八に食べものを与えてくれたのは商人の久次だった。久次は「世の中は銭の力で動いとるんや。銭がねえと何もできん」と教える。源八は生き延びるために山で獣を狩ろうと考える。木の枝で弓を作り、死闘の末にイノシシを仕留めて久次に買ってもらおうとする。だが、山から引きずっていったため毛皮も肉もぐずぐずで売り物にならない――。

 現代のような経済感覚を武器に、戦国時代を生き抜いた武士を描く。

(朝日新聞出版 2145円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋