著者のコラム一覧
平野悠「ロフト」創業者

1944年8月10日、東京都生まれ。71年の「烏山ロフト」を皮切りに西荻、荻窪、下北沢、新宿にロフトをオープン。95年に世界初のトークライブ「ロフトプラスワン」を創設した。6月、ピースボート世界一周航海で経験した「身も心も焦がすような恋」(平野氏)を描いた「セルロイドの海」(世界書院)を刊行。作家デビューを果たした。

坂本龍一と映画監督の園子温 2人とも長生きしてもらいたい

公開日: 更新日:

 2021年2月。ふと1年前を思う。大阪市内のライブハウスで新型コロナウイルスのクラスターが発生。ロフトグループは3密回避、マスク着用など感染予防対策を講じたが、3月20日に陽性反応者が出てしまった。コロナ禍では「久しぶり。一杯飲もうか?」とも言えず、同世代の友達が亡くなっても葬式にも参列できない。高齢者の「生き場所」がSNSというのは寂しい限り……。手近なオンナとのショボイ情事に自責の念を覚え、それさえも懐かしいと思う自分がいる。50年前に音楽家・坂本龍一さん(69)は「必ず大物になる」と確信した。あのころが、今は泣きたいくらいに愛おしい。

 1971年3月にオープンしたジャズ喫茶・スナック「烏山ロフト」の常連だった坂本龍一さんは、73年6月に営業を始めたライブハウス「西荻窪ロフト」でライブをやるようになった。でも客なんて全然入らなくて、1人、2人、3人……と数えるほど。それでも彼はアップライトのピアノの前に座って沈思黙考した後、両手を伸ばして白黒の鍵盤を叩き始める。

 この一連の所作が「カッコイイ」のひと言。

 烏山でもニシオギでも彼はモテまくった。ステージでピアノを弾くようになり、はっぴいえんど(細野晴臣、大瀧詠一さんら)、山下達郎、矢野顕子、ムーンライダーズ(鈴木慶一、渡辺勝さんら)、友部正人さんら日本の新興ロック、フォーク界の音楽に触れ、彼自身の音楽の<幅>が広がったと思っている。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    国分太一との協議内容を“週刊誌にリーク”と言及…日本テレビ社長会見の波紋と、噴出した疑問の声

  5. 5

    衆院定数削減「1割」で自維合意のデタラメ…支持率“独り負け”で焦る維新は政局ごっこに躍起

  1. 6

    西武にとってエース今井達也の放出は「厄介払い」の側面も…損得勘定的にも今オフが“売り時”だった

  2. 7

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    立花孝志容疑者を追送検した兵庫県警の本気度 被害者ドンマッツ氏が振り返る「私人逮捕」の一部始終

  5. 10

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較