【独占直撃】県岐阜商・鍛治舎前監督が明かす快進撃の根拠 優勝大本命の横浜破り16年ぶり4強入り
まさかの結末が待っていた。
昨19日、夏の甲子園大会の準々決勝4試合が行われ、県岐阜商(岐阜)が春夏連覇を狙う横浜(神奈川)を相手に延長十一回タイブレークの末、8-7でサヨナラ勝ち。16年ぶりにベスト4に進出したのだ。
■「100回やったら99回は負ける」
準々決勝に残った8校中、唯一の公立校が優勝候補の大本命相手に、粘り強さを見せた。五回まで4-0と試合を優位に進めたものの、八回に同点に追いつかれた。タイブレークに突入した延長十回、先攻の横浜に3点を奪われ、万事休すかと思われた。
が、県岐阜商はその裏、無死満塁から6番・小鎗(3年)の走者一掃の適時二塁打で同点とすると、続く十一回、2死一、三塁から4番・坂口(3年)が左前にサヨナラ打を放ち、2時間42分の大激闘にケリをつけた。藤井潤作監督(53)は「(横浜とは)100回やったら99回は負けると思う。残りの1回が甲子園で出た」と、興奮しきりだった。
■メンタル面から鍛え直す
今年、創部100周年を迎えた県岐阜商は、2022年以来3年ぶりの夏出場。前回出場時にチームを率いていたのが鍛治舎巧前監督(74)だ。
現在は中学の硬式クラブチーム・枚方ボーイズ(大阪)で監督を務める名将は、社会人のパナソニック、秀岳館(熊本)で監督を歴任。母校である県岐阜商では18年3月から指揮を執り、24年8月に退任するまでの約6年半で春夏計4度の甲子園出場を果たした。
「打者はいつも通り、初球からガンガンいって打ち勝った。横浜の守りも素晴らしかったですが、勝ち切れてよかったと思います」
こう言って母校を称えた鍛治舎前監督は、低迷する名門の再建を託された。県岐阜商は夏の甲子園に通算31回出場し、1度の優勝を誇る県屈指の強豪校。しかし、鍛治舎前監督が就任する前年の夏の岐阜大会では3回戦で県立の海津明誠にコールド負けを喫するなど、苦境に立たされていた。
鍛治舎前監督が言う。
「就任1年目に4月の春季大会準決勝で中京学院大中京に1-4で負けた。しかし、試合後はみんな笑顔。『中京相手にいい試合ができた』と言うので、『それが負け犬根性と言うんだ!』と叱り飛ばし、その足で学校に戻って夜9時まで練習しました」
チームは、「強豪校に善戦すればよし」というムードが蔓延。個々の選手の意識が低く、メンタル面から鍛え直す必要性を感じたという。