「もじモジ探偵団」文字バンザイ編 雪朱里著 ヒグチユウコ・イラスト
「もじモジ探偵団」文字バンザイ編 雪朱里著 ヒグチユウコ・イラスト
モニターの文字から、看板や商品のパッケージ、さらに宅配便のラベルに印字された宛名住所まで。私たちの身の回りにあふれるさまざまな文字はすべて、だれかがどこかでデザインしたものだ。
そんなお馴染みの文字が生まれる現場をアイアイ探偵と助手のネコくんを案内役に、突撃取材するビジュアルブック。
例えばディスカウントストア「ドン・キホーテ」の店内を埋め尽くすあのPOP。売り場のコーナー名から、各商品のプライスカードまで、独特の「ドンキ文字」で手書きされたPOPが、来店者の購買意欲をかきたてる。
アイアイ探偵とネコくんはその秘密を探るため、同社の栗原由紀さんに会いに行く。同社には約1000人のPOPライターがいて、栗原さんはそのまとめ役だという。
社内でPOPさんと呼ばれるPOPライターは、各店舗にいる売り場担当者の依頼で、一日中POPを描き続けている。
ドンキ文字が誕生した時期は定かではないが、以前から活用されてきた手描きPOPのレイアウトや文字デザインがマニュアル化され、2001年に全国で描き方が統一されたそうだ。そして、栗原さんによる実演の様子も写真で紹介。
ほかにも、作家・松本清張が気に入り自らの本に用いたオリジナル書体「堀内文字」や、卵の殻にプリントする「賞味期限」のドット文字、1925(大正14)年の発売時からほとんど変わらないあの「ボンタンアメ」のロゴなど、さまざまな文字を取り上げ、文字デザインの世界を案内。
さらに本書のイラストを担当するイラストレーターのヒグチユウコさんが描く独特の文字のフォント化プロジェクトを追うリポートもあり、今まで見過ごしてきた身の回りの文字の魅力に気づかせてくれる面白本。
(グラフィック社 2310円)