最新回の朝ドラ「あんぱん」ウラの見所~羽多子らの“あの言葉”にあんぐり…のぶも感動してる場合か。落語家の年齢も気になる
第20週「手のひらを太陽に」#103
【朝ドラのツボ!】
嵩(北村匠海)は「まんが教室」という番組に出演してほしいという健太郎(高橋文哉)の頼みをしぶしぶ承諾する。そして第1回の放送日。生放送でガチガチに緊張する嵩。そんな嵩を、のぶ(今田美桜)がテレビの前で心配そうに見守る中、絵描き歌の初動からミスをした嵩は慌てふためき……!?
それからしばらくして、羽多子(江口のりこ)が高知から懐かしい人物を連れてやってくる。
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【本日のツボ】
たまご食堂
※※以下、ネタバレあります※※
嵩、今度はテレビの「まんが教室」の先生になりました。これは史実どおりで、NHKアーカイブスによれば、実際は「まんが学校」(1964~1966)という番組で、
<漫画家のやなせたかしが“先生”を、落語家の立川談志が司会を務め、子どもたちが笑いのなかで社会科的知識を身につけていくクイズ番組。毎週、子どもたちをスタジオに招き、漫画の描き方を練習したりクイズを解いて楽しんだ、総合(月)午後6時からの25分番組>(※NHKアーカイブスより)
…だったそうです。
ここで気になったのが、司会者役の落語家です。立川談志ということで、談志一門、立川流の立川談慶に白羽の矢が立ったのでしょうが、昭和36年(1961年)ということは、1936年生まれの談志は25歳です。ところが画面の中の司会者はベテラン風情。
それもそのはず、談慶は今年60歳ですから。立川流に若い落語家はほかにいなかったのでしょうか。それとも、立川流も高齢化の波が押し寄せているということでしょうか。
ゆでたまごエピソードに感動する、のぶ
そんなことを考えていたら、羽多子がコン太(櫻井健人)を連れて上京してきました。コンタは朝田家の場所で、食堂を開きたいそうです。名前ももう決めているということで、コン太の口から出た名前が「たまご食堂」。
そこで、あの中国奥地で民家に押し入って、おばあさんに銃を突きつけ、脅すようにして、手に入れたゆでたまごを殻つきのまま貪り食べる映像が流れました。てっきりこれは封印したい記憶だと思っていました。空腹のあまり、狂乱し、民家に押し入って、得たゆでたまごですから。
もう二度とゆでたまごは食べたくない。たまごなど見たくもない! となるのならわかるのですが、その反対で、「あのゆでたまごの味、ワシは一生忘れん」などと言い出すコン太。
その話を聞いて「自分も生きるか死ぬかの戦地で、敵の兵隊にたまごを分けてくれるらあてね…」としみじみする羽多子。このあたりから、もうあんぐり。
「ワシは食堂を開いたら、腹をすかして困っちゅうひとには、金がのうても食わしちゃろ、思います。どういても、あのときの恩返しを誰かにしたいです」というコン太の話にうるうるするのぶ。
いやいや、あのときのおばあさんは、たまごを分けてあげようと思ったわけでなく、銃で脅されてしぶしぶだったと思うのですが…。おばあさんに訊いてみたいものです。
(桧山珠美/TVコラムニスト)