著者のコラム一覧
吉田隆記者、ジャーナリスト

1984年に写真週刊誌「FRIDAY」の創刊準備メンバーとして専属記者契約を結ぶ。87年の大韓航空機爆破事件では、犯人の金賢姫たちが隠れていたブダペストのアジトを特定、世界的に話題となる。初代「張り込み班チーフ」として、みのもんたや落合博満の不倫現場、市川染五郎(現・松本幸四郎)や石原慎太郎の隠し子、小渕恵三首相のドコモ株疑惑などジャンルを問わずスクープ記者として活躍。

<77>早貴被告はアプリコの財産を手に入れられる立場になった

公開日: 更新日:

「遺産が欲しかったら、ドン・ファンの霊を慰めなければならないんだよ」

 あきれながらも私は早貴被告にそのように伝えると彼女はコックリとうなずいた。といっても不満そうな顔だったから到底納得していないことは分かっていた。

 その場にいた人間で早貴被告と利害関係にないのは私と大下さんだけであり、彼女は自分の優位性に気付いていくことになる。それはつまりアプリコの社主になることであり、「アプリコ」の財産を手に入れられる立場に就くことを知り始めたからだ。

 この時、野崎さん個人の資産は法律に従って凍結されて動かすことはできなかったが、会社の金約2億円は運営費として動かすことができたので、それが草刈り場になった。

「アプリコ」の従業員のマコやんや佐山さんは面と向かって早貴被告に意見することはなかった。将来社長となり、自分たちを差配する可能性がある彼女に逆らいたくなかったのだと「大人の対応」を学んだような気がした。ただマコやんは闇雲に従順な性格ではなく曲がったことが嫌いで、ドン・ファンが理不尽なことを言った場合には喧嘩も辞さない覚悟もあったので、私は彼のことを信用していた。

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